今につながる日本史+α

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読売新聞編集委員  丸山淳一

働き方改革を始めたのは天智天皇?

 6月10日の「時の記念日」は「働き方改革」にふさわしい。働き方改革関連法の柱となっている残業規制も「高プロ」もそうだが、「働き方」は労働時間と切っても切れない関係があるからだ。

 そもそも時の記念日は、規則正しく生活すること、効率的に働いて生産性を上げることを目指して制定された。

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 天智天皇をまつる近江神社(写真)が時計にゆかりがある神社とされるのは、天智天皇が日本で初めて水時計(漏刻)を作らせたからだが、それは官僚制を導入して豪族をきちんと働かせ、朝廷の生産性を上げようとするためだった。

 百人一首の代一句「秋の田の...」が労働歌であるのも、天智天皇が「働き方改革」を進めた表れと考えていいのではないか。

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「働かざる者…」の合言葉の真実

コラム本文の後半では、「働かざる者、食うべからず」という言葉の由来を紹介した。もともとは新約聖書にある言葉で、正確な和訳は「働こうとしない者は、食べることもしてはいけない」と、怠惰を戒めてはいるが、失業者や社会的弱者まで食べるなとは言っていない。どうして日本でこれほど冷たい響きの言葉になってしまったのか。

 「貧乏人は麦を食え」の発言が問題となった池田勇人なら言いかねないと思っている人が多いようだが、それはどうやら違う。詳しくはコラム本文をお読みいただきたい。

生き残るには「前向き」「勤勉」

 小学校から薪を担いだ二宮尊徳銅像が次々に消えているご時世だから、あくせく働くのは時代遅れなのだろう。過労死の悲劇を繰り返さないためにも、サービス残業が当たり前という風潮は過去のものにしなければならない。

 しかし、「もう、成長しなくてもいいじゃないか。あくせくするのはやめよう」というのも違う。日本は経済力を失えば、何のとりえもない極東の島国として衰微する運命にある。合理的な働き方を追求することは大切だが、前向きで勤勉な国民性を捨てた時点で日本は生き残れない。

maruyomi.hatenablog.com

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