城が大好きな私から、まずクイズ。これらの4つの城の共通点は何でしょう?答えは「いずれも『引っ越し大名』といわれた越前松平家当主の譜代大名、松平直矩(1642〜95)が居城とした城なのだ。
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大大名の財政は火の車
もちろん当時の姿とは違う城もあるだろうが、姫路城と小峰城では維持費も相当違っただろう。だが、領地の石高はともに15万石だ。15万石は大大名の部類に入る。
だが、相次ぐ引っ越しで越前松平家の財政は火の車だったという。城の維持費以前の問題として、大名の引っ越し費用はいったいいくらかかったのだろう。「引っ越し大名」直矩について調べてみた。
直矩を調べたのは映画「引っ越し大名」を観たのが直接のきっかけだ。日本の企業特有ともいわれる頻繁な転勤がいかに負担になるかについても少しだけ考えてみた。コラム本文では映画では描かれなかった直矩の子孫の“引っ越し(国替え)ループ”についても触れている。 hikkoshi-movie.jp
流転の原因は三角関係?
映画では直矩が頻繁な転勤を迫られた理由を、将軍側近の柳沢吉保(1658〜1714)との男色関係のもつれとしている。
原作の小説では直矩から吉保に色目を使い、映画では吉保が直矩を誘っているように見え、この違いがなぜ生じたのかちょっとわからないが、いずれにしろこれは創作だ。
江戸時代の大名の評判を集めた『土芥寇讎記』に「直矩は美少年好き」という記述があり、ここからヒントを得たのだろう。
背景には将軍家の跡目争いも
しかし、『土芥寇讎記』も直矩の美少年好きの度合いは「極端にその道を暴走しているわけでもなく、大きな問題ではない」と記している。大きな問題ではないなら、国替えの理由でもなかったことになる。
頻繁な国替えのきっかけとなったのは、越後騒動という親戚のお家騒動だ。問題の収拾を命じられてお家騒動に巻き込まれ、しかもそこに将軍家の跡目争いをめぐる確執が絡んでその巻き添えとなるのだが、そのへんはコラム本文を読んでほしい。なお、映画で星野源さんが演じている「引っ越し奉行」は創作の人物で、実在は確認できていない。
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直矩の引っ越しがどれだけ負担だったか資料を探したが、「引っ越し奉行」が残したはずの詳細な記録は見つけることができなかった。コラム本文では記録が残っている柳沢家の記録を紹介したが、直矩の引っ越し記録についてご存知の方がいればご教示いただきたい。
maruyomi.hatenablog.com
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