*「今につながる日本史」の出版にあわせて、本の中身を確認できるように、このコラムは本に収録した加筆修正後の内容に改めました。
政府は2018年12月に閣議決定した新たな防衛大綱と中期防衛力整備計画(2019〜23年度)で、海上自衛隊が2隻保有するいずも型護衛艦の「空母化」を打ち出した。「いずも」は2020年度、「かが」は22年度から改修工事が始まり、最新型ステルス戦闘機「F35B」が発着できるようになる。
自衛隊が空母機能を持つ艦艇を持つのは、昭和29年(1954)の創設以降初めて。政府は戦闘機の常時搭載を見送るなど運用に制限を設け、専守防衛に徹すると説明しているが、南シナ海で海洋進出を進める中国を刺激しないか、懸念する声もある。
改修される「いずも」の全長は248mあるが、それでも巨大不沈戦艦「大和」より15m短いという。大和も当時の仮想敵国、米国から日本のシーレーンを守るための防衛抑止力として建造されたとされる。その背景には、ワシントン海軍軍縮条約からの脱退を見据えた艦艇計画の変更と、昭和9年(1934)に起きた水雷艇「友鶴」の転覆事故の影響があった。
くしくもこの時代の海軍を舞台に、大和建造計画を描いた三田紀房さんの人気コミック『アルキメデスの大戦』が実写映画化され、2019年夏に公開された。フィクション部分を取り除いていくと、海軍の艦艇建造計画の変遷がみえてくる。
読売新聞オンラインのコラム本文
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- 海軍を震撼させた水雷艇転覆
- 事故の背景に軍縮条約の制約
- 過大装備で「トップヘビー」に
- 海軍の路線対立は実話だった
『アルキメデスの大戦』は、戦前の帝国海軍司令部が進めていた「大和」の建造計画に反対する若き天才数学者が、米国との戦争を避けるために軍部の陰謀を暴くストーリーだ。
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原作には実在した人物が多数登場するが、映画で菅田将暉さんが演じた主人公、櫂直は架空のキャラクターで、特定のモデルもいないようだ。ただ、原作には史実もところどころに挿入され、ストーリー展開のカギとなっている。
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