今につながる日本史+α

今につながる日本史+α

読売新聞調査研究本部  丸山淳一

江戸時代

川中島の合戦で捏造された「戦いに勝った証し」とは

コロナ禍が長期化し、全国各地のお祭りやイベントの多くが延期や中止、縮小を余儀なくされている。戦国武将、武田信玄(1521~73)の命日(4月12日)にあわせて開催される山梨の春の風物詩、甲府市の「信玄公祭り」も10月下旬に延期された。信玄の好敵手、…

鎖国下で進められた人類初ワクチンの接種

先進国ではワクチン接種が遅れたところに、感染の第4波がやってきた。ワクチンについては副反応を懸念して接種しない人もいるが、効き目を信じている人も打つワクチンがなければどうしようもない。こんな状況で東京五輪が本当に開催できるのか、疑問を持つ…

『青天を衝け』渋沢栄一のすごさを知る三つのポイント

「日本近代資本主義の父」といわれる渋沢栄一(1840~1931)を吉沢亮さんが演じるNHK大河ドラマ『青天を衝け』が始まった。渋沢は3年後には福沢諭吉(1835~1901)に代わって1万円札の顔になる。 波乱万丈の人生は、大河ドラマの主人公にふさわしい。天…

学術会議問題と寛政異学の禁と滝川事件

日本学術会議が推薦した新会員候補のうち6人を菅首相が任命しなかった一件が、尾を引いている。為政者による弾圧と抵抗は歴史にはつきもので、今回の任命拒否も学問の自由との関係が議論されている。 だが、今回の一件を現時点で学問の自由の侵害=違憲とい…

安土城天主も江戸城天守も再建できないワケ

織田信長(1534〜82)の安土城(国の特別名勝)の天主復元を検討してきた滋賀県の三日月知事が建物の復元を見送る方針を明らかにした。年内に正式方針を決めるが、デジタル技術を用いた「再現」となる見通しだ。詳しい史料がなく、現時点では史実に忠実に復…

新首相の地元 秋田藩が失敗した経済政策とは

安倍首相が持病の悪化で退任し、菅内閣が発足した。秋田県出身者では初の首相で、地元(菅氏の選挙区ではないが)は盛り上がっている。 菅氏は農家に生まれ、地方議員からたたき上げで首相に上り詰めた苦労人だ。親の選挙地盤を引き継ぐ世襲議員が目立つ昨今…

過去の失敗作「アマビエ」が今、脚光を浴びる理由とは

新型コロナの感染拡大が長期化する中、予言する妖怪「アマビエ」が大人気だ。人魚のようなウロコと長い髪、鳥のようなくちばしを持つ3本足の妖怪で、江戸時代に肥後(熊本県)の海に現れて疫病の流行を予言したという。 アマビエはむろん想像の産物だが、こ…

『麒麟がくる』8月再開!高橋英樹さん 大河と信長を語る

新型コロナの影響で放送休止中だった大河ドラマ『麒麟がくる』が8月30日から再開される。これまで大河ドラマ9作に出演した高橋英樹さんのロングインタビューを2回に分けて読売新聞オンラインに掲載した。 高橋さんと言えば『国盗り物語』で演じた織田信長(…

洪水危険、土砂崩れ注意…「地名」は警告する

*「今につながる日本史」の出版にあわせて、本の中身を確認できるように、2018年に公開したコラムを本に収録した加筆修正後の内容に改めて公開します。九州で豪雨災害にあわれた方、心よりお見舞い申し上げます。 町の中心部が水没した岡山県真備町 歴史学…

「暴れ川」「ダム」の歴史と令和の熊本豪雨

決壊した球磨川と浸水した人吉市街 梅雨前線の影響で熊本県南部に記録的な大雨が降り、球磨川が氾濫した。支流に近い球磨村の特別養護老人ホームが浸水し、土砂崩れも多発した。 八代市や人吉市では橋が流失し、多くの人が孤立した。死者・行方不明者は30人…

人気の『流人道中記』に仕込まれた史実と幕末の空気

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言が、「特定警戒」に指定した茨城、石川、岐阜、愛知、福岡の5県を含む39県で解除される。 だが、北海道、東京、神奈川、千葉、埼玉、京都、大阪、兵庫の8都道府県では緊急事態が維持される。解除される34…

コロナ禍の今、あえて昔の富士山噴火を振り返る

熊本地震から4年が経つ。熊本のテレビ局にいて最初の最大震度7(前震)に遭遇した時、まさか1日後にも最大震度7(本震)が来るとは思わなかった。 地震の規模を示すマグニチュードは前震が6.5、本震が7.3。0.8の差は小さく見えるが、マグニチュードは対…

新型コロナ拡大 江戸の虎列刺(コレラ)の教訓生かせ

新型コロナウイルスによる肺炎の拡大が加速している。2002~03年に大流行し、中国で349人が死亡した重症急性呼吸器症候群(SARS)を大きく上回る拡散で、感染は全世界に広がっている。 最悪の場所とタイミング 鎖国の日本で「虎列刺」流行 箱根で止まった最…

江戸の「IR長者」大久保今助は鰻丼だけの人じゃない

大久保今助(1757〜1834)という江戸の大富豪をご存じだろうか。江戸時代に利権を駆使してカジノ、劇場、ショッピングモールなどを次々に手がけ「今太閤」と呼ばれた商人だ。 統合型リゾート(IR)をめぐる汚職事件と根っこは同じにみえる。今助の波乱万丈の…

ゴーン被告は不正義から逃げたのか?義経伝説との共通点

「私は正義から逃げたのではない、不正義と政治的迫害から逃れたのだ」 ゴーン被告が逃亡後にレバノンで行った記者会見で述べた言葉の中で、私が一番印象に残ったのはこのセリフだった。 この言葉を聞いて思い浮かんだのは、源義経(1159〜89)だった。義経が…

決算!忠臣蔵 討ち入り総額1億円、へそくりから100両

最近は「忠臣蔵」といわれても、どんな話か知らないという人も多いようなので冒頭で説明しておく。忠臣蔵とは、赤穂藩主の浅野内匠頭たくみのかみ(1667〜1701)が吉良上野介こうずけのすけ(1641〜1703)に遺恨を抱き、江戸城の松の廊下で刃傷に及んだのが発…

探検家近藤重蔵の転落 元農水次官事件との接点は

近藤重蔵(『愛国百話』挿絵、国立国会図書館蔵) 近藤重蔵(1771〜1829)といえば蝦夷地探検で有名だ。ところが息子の富蔵(1805〜87)が起こした大量殺人に連座して、不遇な晩年を送ったことはあまり知られていない。しかもその事件は親子の相克を経て起き…

借金抱えて領地転々「引っ越し大名」15万石の悲しい史実

越後村上城(左上)、播磨姫路城(右上)、出羽山形城(左下)、白河小峰城(右下) 城が大好きな私から、まずクイズ。これらの4つの城の共通点は何でしょう?答えは「いずれも『引っ越し大名』といわれた越前松平家当主の譜代大名、松平直矩なおのり(1642…

焼失した首里城は「戦わない琉球」の象徴だった

このコラムはYOMIURI ONLINE「深読み」で2019年1月まで掲載し、それ以降はこのブログで不定期に更新してきました。YOMIURI ONLINEのリニューアルに伴い、2019年11月からは読売新聞オンライン「webコラム」で連載を再開しました。 読売新聞オンラインは会員登…

ウナギ絶滅?万葉歌人と江戸の発明家が勧めたワケ

ウナギは99%が養殖物だが、卵から成魚まで完全養殖する技術はまだ確立されていないこと、そのため、養殖といっても稚魚(シラスウナギ)を捕まえて育てるしかなく、稚魚の乱獲が続いていることも、だいぶ知られるようになってきた。日本人とウナギの長い歴…

明智光秀「三日天下」が残した業績 大減税は明治まで続いた

2020年の大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公は長谷川勝巳さんが演じる明智光秀だ。これまでとは違って、本能寺の変の直前に苦悶する姿だけが描かれるということはないだろう。 www.nhk.or.jp 光秀が布告した大減税の話は、あまり知られていないように思う。コ…

インドネシア地震津波の恐怖日本でも 「島原大変肥後迷惑」とは

2018年12月22日午後9時(日本時間11時)ごろ、インドネシアのスマトラ島とジャワ島の間にあるスンダ海峡で津波が発生し、死者400人を超える大災害となった。 インドネシアを襲った大津波(バンテン州パンデグラン、インドネシア国家災害庁提供) 付近のクラ…

ゴーン会長の逮捕を〝忠臣蔵の日〟に義挙か謀反か考える

日産自動車のカルロス・ゴーン会長の逮捕には驚いた。どうやら日産内部では、資本提携先のフランス・ルノーとの関係がぎくしゃくしていたようだ。海外からの報道によると、ルノーが日産との経営統合を目論んでいたとか、ゴーン容疑者が日産の西川社長の解任…

カリスマ斉彬から調整型久光へ 島津家の絶妙な継承

『西郷どん』に関するコラムの最後は幕末の島津家の話だ。書きたかったのはまず島津斉彬ばかりが名君ではなかった、むしろ久光の功績が大きかったということと、その前からの恩讐を乗り越えて、薩摩藩では絶妙な権力の承継が行われていた、ということだ。 ↑…

今の日本橋は何代目?首都高が橋の上を通った真相は?

東京・日本橋は徳川家康が江戸開府とともにかけた日本を代表する橋だ。五街道の起点となり、日本の道路の起点であることを示す道路元標がある。 今の石の橋(重要文化財)は尾崎行雄東京市長の肝いりで完成したが、では何代目かおわかりですか? 安藤広重『…

武田信玄と伊達政宗 戦国の「衆道」

戦国時代の名だたる武将たちにはたくさんの同性愛の記録が残っている。武田信玄(1521〜73)の「衆道」については特に有名だ。自筆の 手紙が残っているからだ。 最近はLGBTについての認識が深まりつつあるが、もともと日本は同性愛に対して寛容な国だった。…

脱獄した高野長英と遠山の金さんの悲劇的な接点

高野長英と高野の筆跡(『近世ニ十傑』国立国会図書館蔵) 「塀のない刑務所」、松山刑務所大井造船作業所で受刑者の逃走事件が起きた。それをヒントに脱走の日本史を書いてみたのが以下のコラムだ。 ↑読売新聞オンラインに読者登録せずにワンクリックでお読…

働き方改革を始めたのは天智天皇?

6月10日の「時の記念日」は「働き方改革」にふさわしい。働き方改革関連法の柱となっている残業規制も「高プロ」もそうだが、「働き方」は労働時間と切っても切れない関係があるからだ。 そもそも時の記念日は、規則正しく生活すること、効率的に働いて生産…

板垣死すとも大相撲は女人禁制?

葛飾北斎の力士図(シカゴ美術館蔵) いろいろあった日本相撲協会で、今度は女人禁制が問題となっている。ちびっ子相撲で女児の参加が禁じられたり、大相撲巡業のあいさつで倒れた市長を介抱しようとした女性看護師に、土俵から下りるよう指示が出されたりし…

宮本武蔵と嘉納治五郎を結んだ熊本の柔道

剣豪の宮本武蔵(?〜1645)と柔道の父・嘉納治五郎(1860~1938)は同じ時代の人ではない。だが、2人は「やわらどころ」熊本の縁でつながっていた、というコラムだ。2019年大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺」で描かれた日本マラソンの父、金栗四…