今につながる日本史+α

今につながる日本史+α

読売新聞編集委員  丸山淳一

災害史

熊本地震から7年 邸宅再建、ジェーンズってどんな人?

平成28年(2016年)4月に発生した熊本地震から間もなく7年が経つ。熊本のテレビ局に赴任して地震に遭遇した筆者は、4月14日(前震)と16日(本震)の揺れをまだ体で覚えている。 再建されたジェーンズ邸。内部展示を整備し、2023年9月に一般公開の予定(熊…

130年前の海難から続く日本とトルコの絆

トルコ南部で2月6日に起きた大地震で、トルコと隣国シリアの死者があわせて5万人を超えた。死者数が1万人を超える地震は、東日本大震災以来だという。 亡くなられた方々に弔意を表し、被災された方々にお見舞い申し上げたい。地震を機に、日本とトルコの…

関東大震災から99年 知るべき教訓とは 

10万人を超える犠牲者を出した大正12年(1923年)9月1日の関東大震災から99年。この震災では特に隅田川東側の江東地区、当時の本所区(現在の墨田区南部)と深川区(江東区北西部)の被害が大きく、両区での焼死者はあわせて5万人を超えた。このうち3万8…

海外火山大噴火、対応が分かれた2人の将軍

南太平洋の島国、トンガの海底火山で2022年1月15日、大規模な噴火があった。噴煙は上空約20キロと成層圏にまで達し、火山灰は最大で半径400キロにわたって広がったとみられる。噴出物の量から噴火の規模を示す「火山爆発指数」(VEI)は5か6で、世界で…

貞観津波と「末の松山」が物語る震災忘却の歴史

マグニチュード(M)9.0の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)から10年がたつ。今年も「3・11」には、新聞もテレビも「あの巨大地震を忘れてはならない」と特集記事や特番を組む。あの悲劇を思い出したくないと思う人もいるだろうが、やはり、これは続け…

「暴れ川」「ダム」の歴史と令和の熊本豪雨

決壊した球磨川と浸水した人吉市街 梅雨前線の影響で熊本県南部に記録的な大雨が降り、球磨川が氾濫した。支流に近い球磨村の特別養護老人ホームが浸水し、土砂崩れも多発した。 八代市や人吉市では橋が流失し、多くの人が孤立した。死者・行方不明者は30人…

「Fukushima50」を観て考える「10M」と「400年」

東日本大震災から9年が経過した。福島県双葉町と大熊町にまたがる東京電力福島第一原子力発電所(イチエフ)で起きた事故と、迫りくる「チェルノブイリ×10」の危機と闘った吉田昌郎まさお(1955~2013)所長らの姿を克明に描いた映画「Fukushima50」が公開…

コロナ禍の今、あえて昔の富士山噴火を振り返る

熊本地震から4年が経つ。熊本のテレビ局にいて最初の最大震度7(前震)に遭遇した時、まさか1日後にも最大震度7(本震)が来るとは思わなかった。 地震の規模を示すマグニチュードは前震が6.5、本震が7.3。0.8の差は小さく見えるが、マグニチュードは対…

100年前のパンデミック再来か コロナ猖獗極める

コロナウイルスのパンデミックが止まらない。流行の中心は中国から欧米に移り、奥州はイタリア、フランス、スペインを中心に国ごとほぼ閉鎖という状況になっている。日本でも感染者も中国からの帰還者より欧州からの帰還者が目立つようになってきた。 読売新…

新型コロナ拡大 江戸の虎列刺(コレラ)の教訓生かせ

新型コロナウイルスによる肺炎の拡大が加速している。2002~03年に大流行し、中国で349人が死亡した重症急性呼吸器症候群(SARS)を大きく上回る拡散で、感染は全世界に広がっている。 最悪の場所とタイミング 鎖国の日本で「虎列刺」流行 箱根で止まった最…

南海トラフ地震と津波はいつ来るのか 古文書が示す4法則

政府の地震調査委員会が、南海トラフ地震に伴い今後30年以内に津波に襲われる確率を初めて地域ごとに算出し、その地図を公表した。 静岡や高知、和歌山など10都県71市区町村に高さ3m(メートル)以上の津波が26%以上の「非常に高い」確率で押し寄せるとい…

インドネシア地震津波の恐怖日本でも 「島原大変肥後迷惑」とは

2018年12月22日午後9時(日本時間11時)ごろ、インドネシアのスマトラ島とジャワ島の間にあるスンダ海峡で津波が発生し、死者400人を超える大災害となった。 インドネシアを襲った大津波(バンテン州パンデグラン、インドネシア国家災害庁提供) 付近のクラ…

紫式部が「源氏物語」に記した平安の異常気象

温暖化の影響で異常気象が「異常」ではなくなってきたように思えてならない。名古屋大学の坪木和久教授の推定では、温暖化が進めば今後、中心の気圧が850〜860ヘクトパスカル、最大風速80〜90mに達するスーパー台風が発生する可能性もあるという。 過去には…

北海道ブラックアウト その背景にある苦難の電力史

大きな寺院があった北海道では胆振地方を中心に余震が相次ぎ、台風も近くを通過するなど、引き続き自然災害に見舞われている。被災した方に心よりお見舞い申し上げたい。 北海道の地震で起きた「ブラックアウト」について、歴史的な背景を調べてみた。どの産…

洪水危険、土砂崩れ注意…「地名」は警告する

町の中心部が水没した岡山県真備町 歴史学者、磯田道史さんの『天災から日本史を読みなおす』(中公新書)を、本棚に戻す前に読みなおすことになるとは思わなかった。大阪北部地震から1か月もたたないうちに、西日本を記録的な豪雨が襲った。被災地はその後…

豊臣家の滅亡を早めた慶長伏見地震

2018年6月18日朝、大阪府の北部を中心とする最大震度6弱の地震があり、大きな被害が出た。被害に遭われた方に心からお見舞い申し上げたい。 この大阪北部地震を受けて書いたコラムでは、豊臣秀吉(1537~98)の天下を早く終わらせ、歴史を変えた大地震と言…

「地震加藤」と呼ばれた清正と熊本城

熊本地震から2年が経つのを機に、かつて赴任していた熊本に行き、熊本城の復興を取材した。その模様は「深層NEWS」でも放送したが、伝えきれなかった熊本城の石垣の構造などを解説した。 読売新聞オンラインのコラム本文 ↑読売新聞オンラインに読者登録せず…