今につながる日本史+α

今につながる日本史+α

読売新聞編集委員  丸山淳一

『レジェンド&バタフライ』が描く日本一有名?な政略結婚

東映創立70周年記念作品『レジェンド&バタフライ』が全国公開された。天文18年(1549年)に政略結婚で夫婦となった2人が、天正10年(1582年)の本能寺の変まで、乱世を駆け抜けた33年間を描く。織田信長(1534~82)を木村拓哉さん、正室の帰蝶きちょう(…

家康はか弱い白兎か虎の子か…干支に2説

読売新聞オンラインでコラムを書いて5年になった。長い間コラムを書いていると悩ましい問題に突き当たる。取り上げる人物の生没年もそのひとつ。ÑHK大河ドラマで放送中の『どうする家康』主人公の徳川家康(松平竹千代)についても悩ましい問題がある。 家…

『どうする家康』の家康像、どうする?

でっぷり太った典型的な徳川家康像 戦国の世を終わらせた徳川家康(1542~1616)を松本潤さんが演じるNHK大河ドラマ『どうする家康』の放送が始まった。前作の『鎌倉殿の13人』は毎週誰かが誅殺されることから「死ぬどんどん」の異名がついたが、作者の古沢…

『鎌倉殿の13人』 三谷脚本は史実とどう折りあったか 時代考証の坂井孝一さんに聞く

主人公の北条義時を小栗旬さんが演じたNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が、12月18日放送の第48話で最終回を迎える。伊豆の小豪族の次男に過ぎなかった義時が、源頼朝の側近となり、し烈な権力闘争に巻き込まれつつ、鎌倉武士のトップに上り詰めていく過程…

「ラーゲリより愛を込めて」が描くシベリア抑留はウクライナにつながる

シベリアの強制収容所(ラーゲリ)に抑留された日本人とその家族の壮絶な半生を描く映画「ラーゲリより愛を込めて」が公開された。二宮和也さんが演じる主人公の山本幡男はたお (1908~54)と、北川景子さんが演じる妻のモジミ(1909~92)は実在した夫婦。…

パーク開園を機に考える ジブリ作品と日本史の接点

愛知県長久手市の愛・地球博記念公園内にジブリパークが開園した。まず「ジブリの大倉庫」「どんどこ森」「青春の丘」の3エリアが先行し、『となりのトトロ』の遊具や『耳をすませば』に登場する店舗「地球屋」が再現され、『 千せんと千尋ちひろの神隠し』…

プロ野球界の「記録の神様」山内以九士の大きな功績

日本に野球が伝来して150年となる2022年、節目の年を祝うかのように、野球界で大記録が次々に誕生した。 記録があるから偉業が分かる プロ野球については昭和11年(1936年)以降のすべての試合、すべての打席、すべての投球や守備が完璧に記録されている。こ…

蘭奢待に並ぶ正倉院の名香 全浅香とは

奈良市の奈良国立博物館で、74回目となる正倉院展が開かれた。東大寺に献納された約9000件といわれる収蔵品から、今年は59件が出陳された。目玉のひとつが天下の名香木といわれる「 全浅香ぜんせんこう 」。正倉院蔵の香木と言えば「 蘭奢待らんじゃたい 」…

鉄道150年 大隈重信「一生の不覚」のその後

新橋―横浜間に日本で初めて鉄道が走ってから150年になる。文明開化の象徴にもなった鉄道建設に貢献したのは大隈重信(1838~1922)、伊藤博文(1841~1909)、井上勝まさる(1843~1910)の3人だ。 若き日の大隈(国立国会図書館蔵) 日本の鉄道史には、ペリ…

安倍元首相国葬で菅氏の弔辞に引用された『山県有朋』

安倍元首相の国葬(国葬儀)で多くの人の心を打ったのは、菅義偉前首相の弔辞だった。弔辞を読み終えた菅氏に対しては、自然に拍手がわいた。葬儀会場で弔辞に拍手がわくのは異例のことだという。 安倍元首相の国葬儀(首相官邸ホームページより) 衆議院第1…

「奇想の画家」伊藤若冲の超人的な集中力と熱意

東京・上野の東京芸術大学大学美術館で開催された特別展「日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱」にあわせて、後期展示の目玉だった 伊藤いとう若冲じゃくちゅう (1716~1800)の『 動植どうしょく綵絵さいえ 』を取り上げた。 読売新聞オンラインのコラム…

畠山重忠と同じ「死ぬどんどん」の犠牲者、稲毛重成

毎回のように誰かが権力闘争の犠牲となり、いわれなき死を遂げる。SNSでは朝の連続テレビ小説をもじって「死ぬどんどん」の異名がついた『鎌倉殿の13人』。9月18日放送回では、鎌倉幕府の公式記録『吾妻鏡』が「譜代勇士、弓馬達者、容儀神妙」とほめあげた…

関東大震災から99年 知るべき教訓とは 

10万人を超える犠牲者を出した大正12年(1923年)9月1日の関東大震災から99年。この震災では特に隅田川東側の江東地区、当時の本所区(現在の墨田区南部)と深川区(江東区北西部)の被害が大きく、両区での焼死者はあわせて5万人を超えた。このうち3万8…

終戦77年の夏に振り返る81年前の「総力戦研究所」の結論

終戦から77年の8月15日が過ぎたが、今回は81年前の夏、昭和16年(1941年)夏の話から始めたい。当代一流の経済学者を集め、主計中佐の秋丸次朗(1898~1992)が率いた陸軍省戦争経済研究班(通称「秋丸機関」)が、この夏に陸軍上層部に「日米の国力差は20…

いたずらは許されないお盆最後「京都五山の送り火」の伝統とは

8月16日夜、「京都五山送り火」が行われる。お盆(=盂蘭盆会うらぼんえ)」の最終日に精霊を送り出す仏教行事で、祖霊(お精霊さん)を再び浄土(死後の世界)に送る火を灯す。過去2年は新型コロナ感染対策として規模を縮小して実施したが、今年は3年ぶりにすべ…

コロナ禍3年目の夏に考える「お盆」の意義

新型コロナウイルスの感染拡大「第7波」が勢いを増す中で、日本最大の民族大移動の時期「お盆」の週がやって来た。今年は行動制限のない久しぶりの夏。東北では大雨被害が心配されたが、3年ぶりの「三大祭り」が始まった。 読売新聞オンラインのコラム本文…

加来耕三さん、中西悠理さんと対談 歴史を学ぶ醍醐味とは

読売新聞本紙の広告企画で、歴史教養番組「偉人・素顔の履歴書」(BS11、毎週土曜日午後8時放送)に出演中の歴史家、加来耕三さんと番組MCの中西悠理さんと対談してみませんか、と誘われて、ふたつ返事で引き受けた。番組を見ていただけでなく、加来…

13人が出そろった直後に13人ではなくなった「鎌倉殿の13人」 

北条義時が主人公のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は、大泉洋さんが演じた源頼朝(1147~99)が退場し、後半戦に入った。タイトルの「鎌倉殿」は鎌倉幕府の将軍で、「13人」は頼朝の死後、若くして後継者となった2代将軍の源頼家(1182~1204)を支えた…

安倍元首相の殺害を過去6人の宰相殺害から考える

奈良県で参院選の街頭演説中だった安倍晋三元首相が凶弾に倒れた。憲政史上最長の在任記録を持ち、首相退任後も自民党最大派閥の領袖りょうしゅうだった政界の中心人物が、選挙期間中に銃殺された衝撃は大きい。 銃撃したのは奈良市に住む無職、山上徹也容疑…

選挙の後に不要論…参議院はなぜ必要とされたのか

参議院議員選挙は、当初の予想通り与党の大勝という結果となった。選挙戦の終盤戦で安倍元首相が狙撃され死亡するという予期せぬ事件が起きたが、選挙結果には大きな影響を与えなかったようだ。 当選した議員の顔ぶれを見て、SNSには「参議院不要論」を説く…

名将というより優秀な経済官僚だった河井継之助

コロナ禍の影響などで公開が3度も延期された映画『峠 最後のサムライ』が公開された。原作は司馬遼太郎(1923~96)の同名小説で、主人公は役所広司さんが演じる越後(新潟県)長岡藩の家老、河井継之助(1827~68)。戊辰ぼしん 戦争のなかでも最大の激戦…

後白河法皇は「日本一の大天狗」ではなかった?

NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の6月5日放送回「義時の生きる道」で、西田敏行さんが演じた後白河法皇(1127~92)が天寿を全うした。ドラマでは通説に従って大泉洋さんが演じる源頼朝(1147~99)が、法皇を「日本一の 大天狗おおてんぐ」と呼んだエピ…

映画『大河への道』が描かなかった真の主人公の悲劇

映画『大河への道』が封切られた。原作は立川志の輔さんの創作落語。郷土の偉人、伊能忠敬(1745~1818)を主人公にした大河ドラマの実現に奮闘する千葉県香取市役所の職員と、忠敬の日本地図を巡る秘話を、現代と江戸時代とを行き来しながら描く。映画をも…

ロシアのウクライナ侵略の「終わらせ方」と大坂の陣

ロシアのウクライナ侵攻は、出口の見えない戦いになりつつある。ロシアの軍事・安全保障問題に詳しい東京大学先端科学技術研究センター専任講師の小泉悠さんはテレビ番組で、ウクライナが非武装化に応じれば、「大坂夏の陣になる」と解説した。防衛省防衛研…

「鎌倉殿の13人」上総広常はなぜ頼朝に殺されたのか

上総広常(国立国会図書館蔵) NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の4月17日放送回「足固めの儀式」で、佐藤浩市さんが演じた坂東武者、 上総広常かずさひろつね (?~1184)が、大泉洋さん演じる源頼朝(1147~99)によって粛清された。ドラマでは、頼朝の…

熊本地震から完全復活 日本一の石橋王国史

完全復旧した通潤橋 熊本県山都町やまとちょうにある日本最大級の水路石橋、通潤橋つうじゅんきょう(国指定重要文化財)が“完全復活”した。熊本地震で通水管が破損し、2年後の豪雨で石垣の一部が崩落。復旧工事は2020年7月に完了したが、安全上の問題から…

牛に引かれて…善光寺詣に隠された史実はあるか

長野市の善光寺で4月3日から 御開帳ごかいちょう が始まった。数えで7年に1度の御開帳は本来なら2021年春に行われるはずだったが、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から1年延期されていた。善光寺というお寺には謎が多い。創建時から説き起こし、…

「光秀は本能寺にいなかった」新説の講演を聞く

天正10年(1582年)6月2日、明智光秀(?~1582)が主君の織田信長(1534~82)を討った本能寺の変について、金沢市立玉川図書館近世史料館が所蔵する『 乙夜之書物いつやのかきもの』という書物から、これまでの常識を覆す記述が見つかった。この記述…

海外火山大噴火、対応が分かれた2人の将軍

南太平洋の島国、トンガの海底火山で2022年1月15日、大規模な噴火があった。噴煙は上空約20キロと成層圏にまで達し、火山灰は最大で半径400キロにわたって広がったとみられる。噴出物の量から噴火の規模を示す「火山爆発指数」(VEI)は5か6で、世界で…

『青天を衝け』時代考証者が語る 渋沢栄一と維新功労者の実像

主人公の渋沢栄一を吉沢亮さんが演じたNHK大河ドラマ「青天を衝つけ」が、12月26日放送の第41話で最終回を迎える。500社もの会社を設立し、600にのぼる公共事業を進めた渋沢は「近代日本資本主義の父」として知られていたが、天保から昭和まで11の年号を…