今につながる日本史+α

今につながる日本史+α

読売新聞編集委員  丸山淳一

畠山重忠と同じ「死ぬどんどん」の犠牲者、稲毛重成

毎回のように誰かが権力闘争の犠牲となり、いわれなき死を遂げる。SNSでは朝の連続テレビ小説をもじって「死ぬどんどん」の異名がついた『鎌倉殿の13人』。9月18日放送回では、鎌倉幕府の公式記録『吾妻鏡』が「譜代勇士、弓馬達者、容儀神妙」とほめあげた…

関東大震災から99年 知るべき教訓とは 

10万人を超える犠牲者を出した大正12年(1923年)9月1日の関東大震災から99年。この震災では特に隅田川東側の江東地区、当時の本所区(現在の墨田区南部)と深川区(江東区北西部)の被害が大きく、両区での焼死者はあわせて5万人を超えた。このうち3万8…

終戦77年の夏に振り返る81年前の「総力戦研究所」の結論

終戦から77年の8月15日が過ぎたが、今回は81年前の夏、昭和16年(1941年)夏の話から始めたい。当代一流の経済学者を集め、主計中佐の秋丸次朗(1898~1992)が率いた陸軍省戦争経済研究班(通称「秋丸機関」)が、この夏に陸軍上層部に「日米の国力差は20…

いたずらは許されないお盆最後「京都五山の送り火」の伝統とは

8月16日夜、「京都五山送り火」が行われる。お盆(=盂蘭盆会うらぼんえ)」の最終日に精霊を送り出す仏教行事で、祖霊(お精霊さん)を再び浄土(死後の世界)に送る火を灯す。過去2年は新型コロナ感染対策として規模を縮小して実施したが、今年は3年ぶりにすべ…

コロナ禍3年目の夏に考える「お盆」の意義

新型コロナウイルスの感染拡大「第7波」が勢いを増す中で、日本最大の民族大移動の時期「お盆」の週がやって来た。今年は行動制限のない久しぶりの夏。東北では大雨被害が心配されたが、3年ぶりの「三大祭り」が始まった。 読売新聞オンラインのコラム本文…

加来耕三さん、中西悠理さんと対談 歴史を学ぶ醍醐味とは

読売新聞本紙の広告企画で、歴史教養番組「偉人・素顔の履歴書」(BS11、毎週土曜日午後8時放送)に出演中の歴史家、加来耕三さんと番組MCの中西悠理さんと対談してみませんか、と誘われて、ふたつ返事で引き受けた。番組を見ていただけでなく、加来…

13人が出そろった直後に13人ではなくなった「鎌倉殿の13人」 

北条義時が主人公のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は、大泉洋さんが演じた源頼朝(1147~99)が退場し、後半戦に入った。タイトルの「鎌倉殿」は鎌倉幕府の将軍で、「13人」は頼朝の死後、若くして後継者となった2代将軍の源頼家(1182~1204)を支えた…

安倍元首相の殺害を過去6人の宰相殺害から考える

奈良県で参院選の街頭演説中だった安倍晋三元首相が凶弾に倒れた。憲政史上最長の在任記録を持ち、首相退任後も自民党最大派閥の領袖りょうしゅうだった政界の中心人物が、選挙期間中に銃殺された衝撃は大きい。 銃撃したのは奈良市に住む無職、山上徹也容疑…

選挙の後に不要論…参議院はなぜ必要とされたのか

参議院議員選挙は、当初の予想通り与党の大勝という結果となった。選挙戦の終盤戦で安倍元首相が狙撃され死亡するという予期せぬ事件が起きたが、選挙結果には大きな影響を与えなかったようだ。 当選した議員の顔ぶれを見て、SNSには「参議院不要論」を説く…

名将ではなく優秀な経済官僚だった河井継之助

コロナ禍の影響などで公開が3度も延期された映画『峠 最後のサムライ』が公開された。原作は司馬遼太郎(1923~96)の同名小説で、主人公は役所広司さんが演じる越後(新潟県)長岡藩の家老、河井継之助(1827~68)。戊辰ぼしん 戦争のなかでも最大の激戦…

後白河法皇は本当に「日本一の大天狗」なのか

NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の6月5日放送回「義時の生きる道」で、西田敏行さんが演じた後白河法皇(1127~92)が天寿を全うした。ドラマでは通説に従って大泉洋さんが演じる源頼朝(1147~99)が、法皇を「日本一の 大天狗おおてんぐ」と呼んだエピ…

映画『大河への道』が描かなかった真の主人公の悲劇

映画『大河への道』が封切られた。原作は立川志の輔さんの創作落語。郷土の偉人、伊能忠敬(1745~1818)を主人公にした大河ドラマの実現に奮闘する千葉県香取市役所の職員と、忠敬の日本地図を巡る秘話を、現代と江戸時代とを行き来しながら描く。映画をも…

ロシアのウクライナ侵略の「終わらせ方」と大坂の陣

ロシアのウクライナ侵攻は、出口の見えない戦いになりつつある。ロシアの軍事・安全保障問題に詳しい東京大学先端科学技術研究センター専任講師の小泉悠さんはテレビ番組で、ウクライナが非武装化に応じれば、「大坂夏の陣になる」と解説した。防衛省防衛研…

「鎌倉殿の13人」上総広常はなぜ頼朝に殺されたのか

上総広常(国立国会図書館蔵) NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の4月17日放送回「足固めの儀式」で、佐藤浩市さんが演じた坂東武者、 上総広常かずさひろつね (?~1184)が、大泉洋さん演じる源頼朝(1147~99)によって粛清された。ドラマでは、頼朝の…

熊本地震から完全復活 日本一の石橋王国史

完全復旧した通潤橋 熊本県山都町やまとちょうにある日本最大級の水路石橋、通潤橋つうじゅんきょう(国指定重要文化財)が“完全復活”した。熊本地震で通水管が破損し、2年後の豪雨で石垣の一部が崩落。復旧工事は2020年7月に完了したが、安全上の問題から…

牛に引かれて…善光寺詣に隠された史実はあるか

長野市の善光寺で4月3日から 御開帳ごかいちょう が始まった。数えで7年に1度の御開帳は本来なら2021年春に行われるはずだったが、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から1年延期されていた。善光寺というお寺には謎が多い。創建時から説き起こし、…

「光秀は本能寺にいなかった」新説の講演を聞く

天正10年(1582年)6月2日、明智光秀(?~1582)が主君の織田信長(1534~82)を討った本能寺の変について、金沢市立玉川図書館近世史料館が所蔵する『 乙夜之書物いつやのかきもの』という書物から、これまでの常識を覆す記述が見つかった。この記述…

願望、幻想をのみ込む魅力…天下取りの名刀「義元左文字」

刀剣ブームが続いている。熊本のテレビ局に赴任していた時、阿蘇神社に伝わる幻の宝刀「 蛍丸ほたるまる」の復元プロジェクトを取材して、そのすごい人気に驚いた。オンラインゲーム『刀剣乱舞』に登場する刀を擬人化したキャラクターのファンになり、刀その…

この世をば…「望月の歌」を巡る新解釈とは

「平安」時代という名前や「貴族の世の中」という括くくり」が影響しているのかもしれない。ちょうど1000年前、平安時代の貴族は優雅で安定した時代を 謳歌おうか していた、というのが多くの人の印象だろう。 この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたる こ…

ジャパンブルーはサムライブルーか

2021年に発売されたサッカー日本代表 100周年アニバーサリーユニフォーム 大河ドラマ「青天を衝け」で藍染めが出てくることから、ジャパンブルーの歴史を探ってみた。 読売新聞オンラインのコラム本文 武士の「勝ち色」由来説には異説も サッカー日本代表の…

堤真一さんが演じた平岡円四郎の志、渋沢栄一はどう引き継いだか

史実は変えられないとはわかっていても、「平岡ロス」に陥っている視聴者も多いのではないか。NHK大河ドラマ『青天を衝つけ』の5月30日放送回で、ドラマ前半のキーマンだった一橋(徳川)慶喜(1837~1913)の側近、平岡円四郎(1822~64)が暗殺された…

感染症にかかった為政者はどう動いたか

コロナ禍が一向に収まらない。菅首相は7月末までに高齢者のワクチン接種を終わらせる方針だが、ワクチン供給の遅れや予約システムの不備などの不手際が相次ぎ、内閣支持率は低迷が続いている。 国会議員がパーティーを開いたり、夜の会合に出席したりした事…

謎だらけ 聖徳太子の肖像画

2021年は聖徳太子(厩戸皇子うまやどのおうじ、574~622)の1400回忌にあたる。奈良の世界遺産・法隆寺では4月3日から5日まで、100年に1度の節目となる遠忌おんき法要が行われた。 聖徳太子はひと昔前まで、間違いなく日本で最も有名な歴史上の人物だっ…

天守閣復旧の熊本城 復旧はこれからが正念場

2016年の熊本地震で傷んだ熊本城天守閣の復旧工事が完了した。5年前に熊本地震に遭遇した筆者にはうれしいニュースだ。だが、復旧工事が完了したのは天守閣と重要文化財の長塀ながべいだけで、熊本城全体の復旧はまだ2割程度しか終わっていないとされる。 …

川中島の合戦で捏造された「戦いに勝った証し」とは

コロナ禍が長期化し、全国各地のお祭りやイベントの多くが延期や中止、縮小を余儀なくされている。戦国武将、武田信玄(1521~73)の命日(4月12日)にあわせて開催される山梨の春の風物詩、甲府市の「信玄公祭り」も10月下旬に延期された。信玄の好敵手、…

鎖国下で進められた人類初ワクチンの接種

先進国ではワクチン接種が遅れたところに、感染の第4波がやってきた。ワクチンについては副反応を懸念して接種しない人もいるが、効き目を信じている人も打つワクチンがなければどうしようもない。こんな状況で東京五輪が本当に開催できるのか、疑問を持つ…

貞観津波と「末の松山」が物語る震災忘却の歴史

マグニチュード(M)9.0の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)から10年がたつ。今年も「3・11」には、新聞もテレビも「あの巨大地震を忘れてはならない」と特集記事や特番を組む。あの悲劇を思い出したくないと思う人もいるだろうが、やはり、これは続け…

『青天を衝け』渋沢栄一のすごさを知る三つのポイント

「日本近代資本主義の父」といわれる渋沢栄一(1840~1931)を吉沢亮さんが演じるNHK大河ドラマ『青天を衝け』が始まった。渋沢は3年後には福沢諭吉(1835~1901)に代わって1万円札の顔になる。 波乱万丈の人生は、大河ドラマの主人公にふさわしい。天…

『麒麟がくる』本能寺の変の今の学説は?

大河ドラマ『麒麟がくる』が完結した。天正10年(1582)6月2日、織田家重臣の明智光秀(?~1582)が主君の織田信長(1534~82)を襲ったこのクーデターは、光秀の動機を巡る論争が続き、「戦国最大のミステリー」と言われる。 読売新聞オンラインのコラム…

『麒麟がくる』本能寺のトリガーは家康?は大外れだったが…

織田信長 『麒麟がくる』最終回の本能寺の変については、ドラマの結末を見てからもう一度書く、と前回のコラムに記したが、公表された最終回の粗筋を読んで言っておきたいことができた。本能寺のトリガーは家康暗殺指令になる恐れがあるが、それはないと思う…