今につながる日本史+α

今につながる日本史+α

読売新聞編集委員  丸山淳一

戦国時代

『どうする家康』で退場の信玄 終焉の地は駒場ではない?

松本潤さんが徳川家康(1542~1616)を演じるNHK大河ドラマ『どうする家康』第19回(5月21日放送)で、阿部寛さんが演じる武田信玄(1521~73)が病死した。ドラマでは信玄終焉の地は「信州(現在の長野県)駒場こまんば」とテロップで紹介されたが、信玄が…

三方ヶ原の合戦で家康とともに大敗した織田客将のその後

大河ドラマ『どうする家康』主演の松本潤さんなどが参加した「浜松まつり」の騎馬武者行列が5月5日、浜松市で行われた。松本さんは沿道を埋めた観衆に笑顔で手を振りながら、市の中心部を練り歩いた。 松本潤さん「徳川家臣団、出陣じゃ!」…浜松まつりに…

「豊島」園の跡地に「練馬」城址公園が開園…なぜ?

東京都練馬区の遊園地「としまえん」の跡地に東京都が整備を進めていた「練馬城址じょうし公園」が開園した。2020年に閉園した「としまえん」の跡地約27ヘクタールは五つの区画に分けて整備が進められており、今回開園したのは「花のふれあいゾーン」「エン…

次期朝ドラロケで本堂破損 百済寺の長くて深い歴史

百済寺本堂。慶安3年(1650年)に再建された 近江(滋賀県)琵琶後の東に位置する「湖東三山」のひとつ、釈迦山しゃかさん百済寺ひゃくさいじ(滋賀県東近江市百済寺町)本堂の濡ぬれ縁が破損した。 NHK大阪放送局が制作する次期連続テレビ小説『ブギウギ』の…

天下の大名物「千鳥の香炉」の数奇な来歴

大人買いしている「戦国の茶器」 トイズキャビンのカプセルトイ「戦国の茶器」の大人買いを続けていたら、本棚の一角が変の直前の本能寺みたいなことになってきた。蘭奢待らんじゃたい、三足みつあしノ蛙、平蜘蛛の釜、黄金の茶窯などがそろった。それぞれ深…

退却を進言した家康を置き去りに?「金ヶ崎の退き口」の真実

読売カルチャーセンター公開講座で取り上げた話の中から、時間内で話しきれなかったテーマを再録・補足する第2弾は、元亀元年(1570年)の織田信長(1534~82)による越前(現在の福井県)朝倉攻めについて取り上げる。越前攻めは信長の義弟、浅井長政(154…

『レジェンド&バタフライ』が描く日本一有名な政略結婚

東映創立70周年記念作品『レジェンド&バタフライ』が全国公開された。天文18年(1549年)に政略結婚で夫婦となった2人が、天正10年(1582年)の本能寺の変まで、乱世を駆け抜けた33年間を描く。織田信長(1534~82)を木村拓哉さん、正室の帰蝶きちょう(…

家康はか弱い白兎か虎の子か…干支に2説

読売新聞オンラインでコラムを書いて5年になった。長い間コラムを書いていると悩ましい問題に突き当たる。取り上げる人物の生没年もそのひとつ。ÑHK大河ドラマで放送中の『どうする家康』主人公の徳川家康(松平竹千代)についても悩ましい問題がある。 家…

願望、幻想をのみ込む魅力…天下取りの名刀「義元左文字」

刀剣ブームが続いている。熊本のテレビ局に赴任していた時、阿蘇神社に伝わる幻の宝刀「 蛍丸ほたるまる」の復元プロジェクトを取材して、そのすごい人気に驚いた。オンラインゲーム『刀剣乱舞』に登場する刀を擬人化したキャラクターのファンになり、刀その…

川中島の合戦で捏造された「戦いに勝った証し」とは

コロナ禍が長期化し、全国各地のお祭りやイベントの多くが延期や中止、縮小を余儀なくされている。戦国武将、武田信玄(1521~73)の命日(4月12日)にあわせて開催される山梨の春の風物詩、甲府市の「信玄公祭り」も10月下旬に延期された。信玄の好敵手、…

『 麒麟がくる』で「三悪」の汚名晴らした松永久秀

NHK大河ドラマ『麒麟がくる』で、吉田鋼太郎さんが演じる松永久秀(1508〜77)が織田信長(1534~82)に背き、信貴山城で自害した。 松永久秀(『太平記英勇伝』) 天下の大名物といわれた平蜘蛛を抱えて爆死するという俗説を採用しなかったあたりは、最新の…

「麒麟がくる」に反映された「洛中洛外図屏風」の謎解き

京都市中(洛中)と郊外(洛外)のパノラマ景観を描いた洛中らくちゅう洛外図らくがいず屏風びょうぶの中でも最高傑作とされる「上杉本」(国宝、米沢市上杉博物館所蔵)が、上野の東京国立博物館で開催中の特別展「桃山―天下人の100年」に出品されている。 …

施しから棒引きへ…徳政史の変遷と令和コロナ徳政

新型コロナ感染拡大を受け、国や自治体が中小企業支援策の拡充に踏み切っている。ただ、営業時間の再短縮や休業(自粛)を求められた店の多くからは「月で最大20万円程度の協力金では足りない」という声が出ている。 倒産や廃業を食い止めるための思い切った…

信長も考えた?足利16代将軍・義尋の誕生

乱世は後継者が次々と権力を奪う時代だ。当然、前任者の子孫はその地位を失う。だが、後継者は前任者と敵対していたわけではない。権力の簒奪さんだつには手順が必要になる。 豊臣秀吉(1537〜98)は織田信長(1534〜82)の孫の三法師、のちの織田秀信(1580…

信友と信勝を謀殺、信光も?血塗られた信長の尾張統一

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、大河ドラマ「麒麟きりんがくる」の放送が6月14日の放送回から休止するという。面白く観ていただけに残念だが、仕方ない。 ただでさえ東京五輪の間の休止を見越して今年の大河ドラマは短い。それがさらに短くなるのだ…

朝廷に法を守らせた信長と検察定年延長問題

検察官の定年を延長する検察庁法改正案について、SNS上で抗議の声が上がっている。検察OBが反対の意見書を出すのは異例といえる。 政府は法案提出以前に黒川弘務高検検事長の定年延長を法律の解釈変更という閣議決定で強行している。法案はこの決定を「後付…

道三と信長の聖徳寺会見 「麒麟がくる」はどう描いた?

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、大河ドラマ「麒麟がくる」の収録が中断されているという。 もともと東京オリンピック中の放送休止を見込んで、いつもの年より少ない44話しかなく、沢尻エリカ被告の一件で冒頭10話を急きょ撮り直した。関係者はさぞ大変…

「麒麟がくる」に登場 織田信秀の実像とは

「麒麟がくる」は大河ドラマ「国盗り物語」と同じく、織田信長(1534〜82)の義父となる斎藤道三(1494〜1556)がしっかり登場し、本木雅弘さんの“怪演”が話題となっている。高橋克典さん演じる実父の織田信秀(1511〜52)についても丁寧に描かれている。 信…

新発見!信玄の信長宛て書状から読む戦国大名の外交戦

元亀元年(1570)に武田信玄(1521~73)から織田信長(1534~82)に出された書状が見つかった。戦国期の史料を集める一般財団法人「太陽コレクション」が2019年、書画骨董業者を通じて購入したという。 東京都市大准教授の丸島和洋さんと、東京大史料編纂所…

「麒麟がくる」帰蝶の再婚相手となり天下が獲れた信長

清洲城公園に建つ帰蝶の像 いつもの年なら始まっている大河ドラマが始まらない。「麒麟がくる」で織田信長の妻、帰蝶(濃姫、1535〜?)を演じる予定だった沢尻エリカ被告が違法薬物所持で逮捕、起訴され、急きょ川口春奈さんに差し替えて撮り直しをしている…

武田信玄と伊達政宗 戦国の「衆道」

戦国時代の名だたる武将たちにはたくさんの同性愛の記録が残っている。武田信玄(1521〜73)の「衆道」については特に有名だ。自筆の 手紙が残っているからだ。 最近はLGBTについての認識が深まりつつあるが、もともと日本は同性愛に対して寛容な国だった。…

信長と信玄 運命を分けた経済格差

武田信玄と織田信長は戦国時代の両雄として、その民政や用兵についてはよく比較されてきた。経済政策についても比較した本や論文はたくさん出ている。 だが、信長については有名な楽市楽座や関所の廃止、物流拠点の伊勢湊を支配した意味などに着目したものが…