今につながる日本史+α

今につながる日本史+α

読売新聞編集委員  丸山淳一

2019-01-01から1年間の記事一覧

明智光秀の記録残した吉田兼見日記と「桜を見る会」問題

安倍首相に対する「桜を見る会」についての批判が収まらない。公文書を恣意的に棄てたり、百歩、いや1万歩譲って恣意的でないとしても、ずさんにシュレッダーしてしまったりすることがいかに問題か、安土桃山時代の公家、吉田兼見(1535〜1610)の2冊の日…

決算!忠臣蔵 討ち入り総額1億円、へそくりから100両

最近は「忠臣蔵」といわれても、どんな話か知らないという人も多いようなので冒頭で説明しておく。忠臣蔵とは、赤穂藩主の浅野内匠頭たくみのかみ(1667〜1701)が吉良上野介こうずけのすけ(1641〜1703)に遺恨を抱き、江戸城の松の廊下で刃傷に及んだのが発…

探検家近藤重蔵の転落 元農水次官事件との接点は

近藤重蔵(『愛国百話』挿絵、国立国会図書館蔵) 近藤重蔵(1771〜1829)といえば蝦夷地探検で有名だ。ところが息子の富蔵(1805〜87)が起こした大量殺人に連座して、不遇な晩年を送ったことはあまり知られていない。しかもその事件は親子の相克を経て起き…

借金抱えて領地転々「引っ越し大名」15万石の悲しい史実

越後村上城(左上)、播磨姫路城(右上)、出羽山形城(左下)、白河小峰城(右下) 城が大好きな私から、まずクイズ。これらの4つの城の共通点は何でしょう?答えは「いずれも『引っ越し大名』といわれた越前松平家当主の譜代大名、松平直矩なおのり(1642…

焼失した首里城は「戦わない琉球」の象徴だった

このコラムはYOMIURI ONLINE「深読み」で2019年1月まで掲載し、それ以降はこのブログで不定期に更新してきました。YOMIURI ONLINEのリニューアルに伴い、2019年11月からは読売新聞オンライン「webコラム」で連載を再開しました。 読売新聞オンラインは会員登…

悪化する日韓関係 対立の底流にある「もはや」の3文字

日韓の対立に一向に収束の兆しが見えない。韓国の文在寅ムンジェイン大統領は2019年8月29日に行われた閣議の冒頭、日本に対し、「一度反省を言ったので反省は終わったとか、一度合意したからといって過去の問題がすべて過ぎ去ったのだと終わらせることはでき…

戦死者1万人…死闘を指揮した「南洋のサムライ」

島に放置された旧日本軍戦車 河野太郎外務大臣が日本の外相として初めてパラオ共和国を訪問した。パラオ本島を訪れた外相は、約60キロ南西に浮かぶペリリュー島を慰霊している。 2015年には、戦後70年の節目に天皇皇后両陛下(現在の上皇上皇后陛下)もこの…

ウナギ絶滅?万葉歌人と江戸の発明家が勧めたワケ

ウナギは99%が養殖物だが、卵から成魚まで完全養殖する技術はまだ確立されていないこと、そのため、養殖といっても稚魚(シラスウナギ)を捕まえて育てるしかなく、稚魚の乱獲が続いていることも、だいぶ知られるようになってきた。日本人とウナギの長い歴…

戦前にも「消えた報告書」があった? 秋丸機関の真実

金融審議会の市場ワーキンググループが2019年6月に公表した「老後には約2000万円必要」とする報告書が波紋を呼んでいる。 野党などから「年金保険料をしっかり払ってきたのに、2000万円足りないとはどういうことだ」「国家的詐欺ではないか」という批判が出…

韓国観艦式で消えた旭日旗の代わりに掲げられた2つの旗

親日派の「積弊清算」に目を向ける韓国・文在寅の罪については、前のブログで具体例を挙げ、説明した。①抜擢人事で登用した側近や盟友に暴走させ、自らは不作為を装う②「反日は韓国の世論であり、韓国政府には止められない。反日を煽っているのはむしろ右傾…

「何もしない」ことで歴史を歪曲する韓国・文在寅政権

いわゆる元徴用工をめぐる問題で、政府は日韓請求権協定に基づく仲裁委員会の設置を韓国政府に要請した。昨年10月に日本企業に賠償を命じた韓国最高裁(大法院)の判決は明らかに協定違反だが、韓国側は「司法判断に介入できない」(康カン京和ギョンファ外…

巨大古墳と黄金の日日...自由都市・堺 その影の歴史

世界遺産決定の日に市長不在 筋の通らぬ辞任劇 「堺ナショナリズム」とは 巨大古墳群は国力誇示のため? 南北朝時代から合戦に巻き込まれ 「堺幕府」と自治都市の関係 「黄金の日日」はごく短期間 明治維新で再び脚光を浴びたが… 近畿の大県、一転廃県に ど…

「歴史の達人」出口治明さんに聞いた目からウロコのインタビュー

ずっと憧れだった立命館アジア太平洋大学(APU)学長・出口治明さんのインタビューが実現した。大変長いので上下に分けて読売新聞オンラインに掲載している。 くどくどと前口上を書くのはやめにする。短く3つ感想を記せば、面白かった。目からウロコだった…

スターリンとヒトラーの野望を砕いた樋口季一郎

「第二次大戦の結果」とは 平和条約締結と北方領土返還をめぐる日露の協議が注目を集めている。ただ、気になるのはロシアのラブロフ外相が「日本は第二次世界大戦の結果を受け入れない唯一の国だ」という批判を口にしていることだ。 「北方4島はロシアの領土…

明智光秀「三日天下」が残した業績 大減税は明治まで続いた

2020年の大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公は長谷川勝巳さんが演じる明智光秀(?~1582)だ。これまでとは違って、本能寺の変の直前に苦悶する姿だけでなく、光秀の政策、特に民政について描かれるのではないか。 読売新聞オンラインのコラム本文 ↑読者登録…